ID:73470
松本 陽子 新作展
Recent Works by Yoko Matsumoto
会場
ヒノギャラリー
hino gallery
会期
2023年5月8日 ー 2023年6月3日
展覧会概要
松本 陽子 新作展 マツモト ヨウコ シンサクテン Recent Works by Yoko Matsumoto
ヒノギャラリーでは2023年5月8日(月)より「松本陽子 新作展」を開催いたします。
1960年に東京藝術大学油画科を卒業した松本陽子は、以来今日まで絵を描き続けています。60年以上となる制作のなか、いくつかの変遷を遂げながらも、常に揺らぐことなく作家が追い求めているもの、それは色彩と形による強靭な構造を持った自律した絵画です。
松本作品の代名詞ともいえる朦朧とした画面が特徴的なピンクのアクリル画を経て、2005年より取り組み始めたのがグリーンの油彩画です。松本はそれをドローイングの延長線上にあると位置づけ、時に大掛かりなドローイングと語ったりもしています。作品に木炭とオイルパステルがふんだんに用いられていることもそれを示唆しますが、作家が理想とする絵画は既述に加え、常に自身の意に反し、精神を超えていくものでなくてはならないといい、つまり、松本の絵画には構想や下絵、まして具体的な対象物は存在せず、実際に描くという行動とそれにより表出するものへの瞬発的な働きかけによって画面が成立しています。ドローイングの意は今やさまざまに解釈されておりますが、形体や明暗を画面にもたらす行為・過程とするならば、松本が自身の作品、特に、なにものかをとらえようと運ばれた線、その痕跡が顕著な油彩画に、ドローイング的感覚を抱くこともうなずけます。
また作家はグリーンの油彩画を描くなかで、白を基調とした作品もたびたび制作しています。松本が追及する絵画は色彩を重視していることは明らかですが、そのなかでも白はこれまでもさまざまな色の傍らにあり、本人も画面における空間構築の主役を担っていると語っています。確かに遡ってみても、白を取り入れていない松本の作品は少なく、作家の求める強靭な構造を持つ絵画において、白という色彩がいかに重要であるか、作品そのものが顕示しています。
松本陽子の個展は弊廊では約3年半ぶりとなり、今回はすべてタブローの新作を展観いたします。充足することなく描き続ける作家の「今」を、各作品から、そして、展示空間全体から感じ取っていただければ幸いです。
なお、現在、東京都現代美術館で開催中の「MOTコレクション 皮膜虚実/Breathing めぐる呼吸」(6/18迄)にて、アクリル・油彩からドローイング・水彩まで、館が所蔵する松本陽子のすべての作品をご覧いただけます。また、京都国立近代美術館で開催となる「開館60周年記念 Re: スタートライン 1963-1970/2023 現代美術の動向展シリーズにみる美術館とアーティストの共感関係」(4/28~7/2迄)では、60年代の油彩画が展示されます。松本絵画の初期から現在までを網羅的にご覧いただけるまたとない機会ですので、是非弊廊の新作展とあわせてご高覧くださいませ。
- 展覧会ホームページ
- http://www.hinogallery.com/2023/2955/
イベント情報
※オープニングレセプションは控えさせていただきます。
会場情報
登録日:2023年5月17日