ID:73122

若林奮 森のはずれ Isamu Wakabayashi:Outskirts of a Forest

会場

武蔵野美術大学美術館・図書館 展示室2・4・5
アトリウム1・2

Musashino Art University Museum & Library

会期

2023年6月1日[木]ー8月13日[日]

展覧会概要

若林奮 森のはずれ ワカバヤシイサム モリノハズレ

Isamu Wakabayashi:Outskirts of a Forest

自身と周縁世界との関わりをめぐる思索を内包した作品により戦後日本の彫刻を牽引し、現代美術館において大きな足跡を残した若林奮(1936-2003)。一見すると寡黙で非情緒的とも思われる形態は、自然や空間、時間、距離、表面、境界など、私たちを取り巻く普遍的で形を持たない事象を豊かに内包し、没後20年となる今もなお、私たちが考え、向き合うべき多くを語りかけてくれます。

若林は武蔵野美術大学在任時の1981年、学内にある工房内に鉄板をたて、自分自身のために10畳ほどの空間を作ります。その後若林は、この通称「鉄の部屋」の周囲を鉛で覆い、周辺に植物や大気を表す鉛の板やキューブを配置して《所有・雰囲気・振動―森のはずれ》(1981-84年)として発表しました。自分自身が所有できる空間を区切ることで生まれた境界や領域をめぐり、自身を軸とした周縁への思索を一層深めた本作は、若林自らを含んだ自然や風景そのものの具現化を試みた作品といえるかもしれません。若林が彫刻観を拡張させるきっかけとなった極めて重要な本作を、本展では約30年ぶりに展示します。
また、おなじく自然の精緻な観察をとおして生まれた《Daisy Ⅰ》(1993年)は、人の背丈ほどある角柱に、植物そのものの構造を想像させる彫刻です。ともに自然や風景を具体的な対象とした《所有・雰囲気・振動―森のはずれ》と《Daisy Ⅰ》全10点を、当館のひと続きの空間で相対させることにより、その活動中期から後期にかけて色濃く表れる、若林彫刻の核といえる「自然」をめぐる諸相を読み解くことを試みます。さらにこの2作品再考の糸口となる彫刻として、自身と世界との距離を計るものさしとして70年代以降通底する概念となる《振動尺》ⅠーⅣ(1979年)、80年代終わりから若林にとって重要な素材の一つとなる硫黄を用いた《The First White Core》ⅠーⅢ(1992年)などのほか、若林の夥しい思索の一端が見えるドローイングや小品、資料約100点を展示します。

「自分が自然の一部であることを確実に知りたいと考えていた」という若林が、世界をどのように知覚し、そこで見出した概念をいかに彫刻化したのか。若林が「森のはずれ」に思索を重ねたここ武蔵野の地で、若林彫刻の意義を再考します。

主催者
武蔵野美術大学美術館・図書館
協賛・協力等
特別協力:WAKABAYASHI STUDIO
監修―袴田京太朗(武蔵野美術大学 造形学部油絵学科教授)
伊藤誠(武蔵野美術大学 造形学部彫刻学科教授)
戸田裕介(武蔵野美術大学 共通彫塑研究室教授)
休催日
水曜日
開催時間
11:00 ~ 19:00
(土・日曜日、祝日は10:00-17:00)
観覧料
無料
展覧会ホームページ
https://mauml.musabi.ac.jp/museum/events/20684/

イベント情報

ー《所有・雰囲気・振動 森のはずれ》部屋状部分内部の特別公開を予定しています。
[日時限定/定員あり]
ー若林が本学に勤めた1970年代から80年代、Daisyを制作した90年代を振り返りながら、若林奮を考えるトークイベントの開催を予定しています。
ー日時や内容など詳細が決まり次第、当館webサイトにてお知らせいたします。

会場情報

武蔵野美術大学美術館・図書館 ムサシノビジュツダイガク ビジュツカン・トショカン

Musashino Art University Museum & Library

会場住所
〒187-8505
小平市小川町1-736
ホームページ
https://mauml.musabi.ac.jp/museum/
更新日:2023年5月31日
登録日:2023年4月5日