ID:65254
生かされしものたち 松原政祐展
会場
原田の森ギャラリー 本館1階 展示室
会期
2020年9月25日|金|-10月4日|日|
展覧会概要
生かされしものたち 松原政祐展 イカサレシモノタチ マツバラセイユウテン
1990年にはじめて松原さんの個展を開かせていただいた。
その時から先生のテーマは「生きるもの」という生を肯定するものであった。しかし、それは苦悩の果てに辿りついたもので単純な生の謳歌ではない。若き日に、生きることへの不安や苦悩から死の誘惑にかられ、また仕事を通じて様々な死をみつめてきた末の祈りが形になったのが松原さんのテーマである。鴨居玲の作品にも生き方にも惹かれ続けて暗い絵ばかり描いていた10年間。自分は鴨居ではないと気がついて自分の道が見えたと鴨居展で語ってくれた。
その模索の果てに同時代の人々への信頼と友情のメッセージを「生きるものたち」という長大な作品群へ託すこととなった。その作品の魅力を際立たせている松原さんの「線」について、山本忠勝氏は1996年の新聞評でこのように書いた。
『この作家の哲学は、その細い「線」の中に凝縮されている。その絶え間なく「自己」(主観、我執、個性)を乗り越えてきた線である。この人は多分、芸術に個性よりも重要なものがあることに気付いている、現代では稀有の作家の1人である。ラスコーの壁画を描いた創造者の名を私は知らないが、その原始の芸術家は自分の名など残そうとは夢にも思わなかったその分だけ、すでに宇宙の摂理に近づいていた。』
具象の感が微妙に揺れ動きながら、現在の松原さんは山本氏が指摘した古代回帰ともとれる画風の中で、自分をひたすら純化し、形象化したうえで普遍的な大きな時間の流れの中での人間存在の証を追究しているのではないか。それは、最も遠くみえる地球的危機、人間崩壊などの予感を孕みながらの仕事に違いない。
そして、松原さんが40年を超える誠実極まりない画業の総決算というべきこの展覧会に臨む今、世界はパンデミックの只中であり、まさに「生きるものたち」の明日を見つめる日々であり、「生かされしものたち」として応答を迫られているとも言える。 島田誠(ギャラリー島田)
- 休催日
- *月曜休館
- 開催時間
- 10:00 ~ 17:30
- *最終日は16:00閉場
会場情報
原田の森ギャラリー ハラダノモリギャラリー
- 会場住所
-
〒657-0837
神戸市灘区原田通3-8-30 - ホームページ
- https://hyogo-arts.or.jp/harada/
登録日:2020年9月2日