ID:6409
「思索の描写~河野通勢(こうのみちせい)と実篤~」
秋の特別展
会場
調布市武者小路実篤記念館
会期
2003年10月25日(土) ~ 2003年12月7日(日)
展覧会概要
「思索の描写~河野通勢(こうのみちせい)と実篤~」 シサクノビョウッシャ コウノミチセイトジットク 秋の特別展
河野通勢(1895-1950年)は、大正3年(1914年)に発足した二科展第一回に弱冠19歳で初入選し、その年齢にそぐわない高い描写力で注目を集めました。その後、日本近代美術を代表する画家・岸田劉生が起こした草土社に参加し、木村荘八、椿貞雄らとともに活躍しました。草土社同人の画風は、岸田劉生「切り通しの写生」(重要文化財・東京国立近代美術館蔵)に代表される対象の徹底的な描写で知られますが、そのなかにあって河野の描写はひときわ細密で、特にデッサン力に優れています。
河野の絵画制作は、写生でありながら単なる写生にとどまらず、細密な描写を支えた対象の凝視と深い思索によって、人物、草木、風景などに物語性や精神性までを描き出し、多くの人を魅了しました。
一方、大正9年に白樺同人・長与善郎の「項羽と劉邦」で装幀・挿絵を手がけたのを皮切りに、大正期後半以降、本格的に挿絵に取り組みました。特に新聞小説や雑誌に連載された時代小説で活躍して人気を博し、白井喬二「富士に立つ影」、田中貢太郎「旋風時代」などの代表作を生みだしました。
河野は岸田を通じて実篤ら白樺同人とも交友を持ち、『白樺』へ執筆し、また大正11年に「白樺主催河野通勢展」を開催しています。
武者小路実篤(1885-1976年)とはとりわけ交友を深め、大正12年に『白樺』が終刊した以降も実篤が主宰した「大調和美術展覧会」や「新しき村美術展」にも大きく関わりました。また実篤作品の装幀・挿絵では、河野は岸田につぐ点数を制作し、特に「井原西鶴」(昭和6年)は河野の挿絵の代表作となっています。
河野は十歳年長の実篤の人柄や制作に当たる姿勢を慕い、昭和4年の岸田の死後は、実篤がもっとも良き理解者であり、自らの指針ともし、生涯深い交流がありました。
本展覧会では、「井原西鶴」挿絵原画が、東京都近代文学博物館の廃止にともない平成14年より当館所蔵となったのを機会に、河野と実篤の交流を作品と資料でたどります。また、河野が残した素描や下絵、制作メモや展覧会資料、収集した古今東西の複製画や画集など数々の資料にも注目し、大正時代から昭和前半にかけての美術事情と、その中における河野の制作への取り組みを紹介します。
- 休催日
- 月曜日(11/3、11/24は開館)11/4、11/25
- 観覧料
- 高校生以上 200円
小・中学生 100円 - 展覧会ホームページ
- http://www.mushakoji.org
- 展覧会問合わせ先
- TEL 03(3326)0648
会場情報
調布市武者小路実篤記念館 チョウフシムシャコウジサネアツキネンカン
- 会場住所
-
〒182-0003
調布市若葉町1-8-30 - ホームページ
- https://www.mushakoji.org
登録日:1999年3月31日