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ignore your perspective 49「紙より薄いが、イメージより厚い。」 ignore your perspective 49 "Lighter than a piece of paper but heavier than an image"
木村翔馬 / 澤 あも 愛紅 / 西原彩香
Shoma Kimura / Amo Aicou Sawa / Ayaka Nishihara
会場
児玉画廊 | 天王洲
会期
2019年7月13日 - 8月10日
展覧会概要
ignore your perspective 49「紙より薄いが、イメージより厚い。」 ignore your perspective 49「カミヨリウスイガ、イメージヨリアツイ。」 木村翔馬 / 澤 あも 愛紅 / 西原彩香
ignore your perspective 49 "Lighter than a piece of paper but heavier than an image" Shoma Kimura / Amo Aicou Sawa / Ayaka Nishihara
拝啓 時下益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。
児玉画廊|天王洲では7月13日(土)より8月10日(土)まで、ignore your perspective 49「紙より薄いが、イメージより厚い。」を下記の通り開催する運びとなりました。本展は、京都で発足した"可変的アーティストスタジオ"「Terrain」を構成する、 木村翔馬、澤あも愛紅、西原彩香(いずれも初紹介)によるグループショーとなります。
絵画の在り方を問うに、それまで存在しなかった概念やメディアの台頭によって半ば強制的に絵画の存在意義が変わることが歴史上度々起こります。代表的な事例の一つは写真の登場でしょう。より以前から知られていたカメラ・オブスクラに始まり、19世紀のダゲレオタイプ(銀板写真)の登場によって決定的となった、「写実」における「絵画の死」はそれまで必要とされてきた絵画の在り方を一変させ、数多くの画家に筆を折らせることとなりました。その後、絵画を「網膜的」であると糾弾したデュシャンの登場によって、また、映像の発達によって、コンセプチュアルアートが作品の実体すら形骸化したことによって、幾度となく「絵画の死」は繰り返されてきました。印象派にしても抽象表現主義にしても、絵画に限らずおよそ重要な美術のムーブメントは旧態に対する反動として隆盛し、そして更なる反動においてまた新たな「死」を迎える、そのうねりの中で必要性に駆られて生み出されてきたものです。
木村、澤、西原の三名は、メディアが圧倒的な速度で進化し始めた時代に生まれ育った世代ならではの感性とその自覚を同世代の誰よりも明確に持ち、彼ら以前の絵画との分水嶺に立つ先駆となる絵画を試みていることは明らかです。幼少期より、アニメや漫画は元より、3DCGや、オンラインゲーム、遊びや生活の中で触れるものがヴァーチャルな視覚体験に満ちている世代、そして指先一つからありとあらゆる情報へのアクセス、コミュニケーションがボーダレスに実現できる世界に生まれた世代です。彼らにとってのリアリティは何かといえば、物理的な事物との接触や人と対面し会話することと同等あるいはそれ以上に、ネットワーク上でのコミュニケーションや仮想的な世界で発生する「現実感」を共有することでも緊密な人間関係が形成され得る、というリアリティです。そこではかつて物珍しさで取り沙汰されたテクノロジーそのものはすでに主題とはなりえず、当たり前のツールとして扱われます。
「身体性」という言葉は三名のコンセプトにおいても頻出しますが、美術制作の現場において「身体性」は常に作家と作品との直接的な問題として現れてきます。描く・造る行為は身体の運動であり、見る・触れるという知覚はイメージと身体の直接的接触です。常に身体を介して作品と接するということは、作品を制作する作家にとっては揺るぎのない事象です。しかし、VRやそれに類する仮想的な条件下においてはそれが揺らぎます。「身体」の帰属が曖昧になり、時にVRのような仮想的な空間における感覚の方が、実際の生身のそれを上回る、それが彼らの存在の一つの軸となっています。テクノロジーの発達と浸透によって、誰でもが、気軽に、即応性を持って、表現したいことを発信できてしまう、そうした仮想性と現実がシームレスに接続することがもはや「当たり前」=リアルへと変化した世界において、そのメインプレーヤーたる彼らが敢えて美術(主として絵画)という表現手段を選ぶ意味を自らに問うのです。
「紙より薄いが、イメージより厚い。」 (木村翔馬 澤あも愛紅 西原彩香)
その表象は、日々の身体拡張の上にあります。
デジタルツールやメディアによる身体拡張は、日常的なものとなり、その機能と技術の更新毎に身体化も進行します。
身体のあり方は、時代の移り変わりに合わせ、社会との接し方を更新させます。
3人はその中で筆を握り、絵の具を扱います。
仮想的な事物は、当たり前に定着し、そのリアリティが現実を上回ってしまう一方で、行為はどうしようもなく現実の空間に帰結します。
現実と同時並行的に存在する、イメージ・バーチャルの空間と身体の問題をどう絵画として扱うかを考えているのです。
今展覧会は、少なからず感性を共有をする三名の独立した作家のグループショーでありつつも、独立性と相互干渉が複合的に企図され、展示構成全体として新たな一つの時代性の嚆矢となることを目論みます。つきましては、本状をご覧の上展覧会をご高覧賜りますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
敬具
2019年7月
児玉画廊 小林 健
- 休催日
- 日・月・祝休廊
- 開催時間
- 11時 ~ 18時
- 11時‐18時 (火~木, 土) / 11時‐20時 (金)
- 展覧会ホームページ
- https://www.kodamagallery.com/iyp49/index.html
イベント情報
オープニング: 7月13日(土)午後6時より
会場情報
児玉画廊 | 天王洲 コダマガロウ | テンノウズ
- 会場住所
-
〒140-0002
品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F - ホームページ
- https://kodamagallery.com/
登録日:2019年7月24日