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シルケ・オットー・ナップ 「スミレ」 Silke Otto-Knapp “Violets”
会場
タカ・イシイギャラリー 東京
Taka Ishii Gallery Tokyo
会期
2018年9月7日(金)- 10月6日(土)
展覧会概要
シルケ・オットー・ナップ 「スミレ」 シルケ・オットー・ナップ 「スミレ」
Silke Otto-Knapp “Violets”
タカ・イシイギャラリーは、ロサンゼルスに拠点に置く作家、シルケ・オットー・ナップの3回目となる個展を開催いたします。
スミレ
人知れずひっそりと咲き、芳しい薫りを漂わせる。菫という花は昔からこのように語り継がれてきた。菫の中には、「アルプススミレ」と呼ばれ、アルプス山脈に近いチューリッヒで鉢花として楽しまれていたものもある。しかし、そのほとんどは生垣の周辺や木々の根元に生え、秋に花をつけるごく普通の青い菫だ。
子供の頃、庭にスミレが群生していて、その匂いを嗅ぐのが好きだった。その芳しさと言ったら!大人になった今も、目を光らせていれば春夏秋冬至る所で小さな菫に出会うことができる。
行く先々で小さな菫たちが出迎えてくれるではないか、子供のような甘く従順な青眼をして。音もなく薫り立つ可憐な菫たち、春に咲き誇る奥ゆかしい馥郁(ふくいく)たるすみれ色の人生よ。
こんな風に菫のことをよく知るからこそ、次から次へと摘み取った。根こそぎ抜き取ってもまた生えてくる。
菫はたいてい3月に開花する。4月に咲く「菫」のほとんどはアネモネである。5月になるとそれは谷間の姫百合、6月にはコフキコガネに姿を変える。そして12月になると冷えきった窓越しで「霜の花」になって咲き揃う。
殿方、ご婦人、お嬢さん、本誌をぜひご一読ください。該当しない敬称には横線を引いて頂き、本誌が咲かせた菫の中でどれが一番素晴らしい薫りだったか、みなさまの自信溢れるご意見をお聞かせください。
みなさまのご感想を心踊らせながら待ちわびています!
ハノーヴァー、ヴァルドハウゼ通り5番地
クルト・シュヴィッタース
本展のタイトルは、クルト・シュヴィッタースが1931年にハノーヴァーで出版した詩誌名からとったものです。この雑誌は彼が同輩や友人の詩を精選し、纏めたものでした。雑誌に掲載された詩をどんな環境下でも逞しく咲く、美しい小さな菫の花に喩えたシュヴィッタースは、自身が書いた「菫」という詩を読者へのメッセージ、また発行主旨の宣言として表紙に掲載しました。
このシュヴィッタースの雑誌は、今回展示される一連の絵画の出発点となっています--それはまた作品に枠組みを与えています。オットー・ナップは風景画をはじめ、舞台美術やパフォーマンスに関する歴史的資料を基に絵画を制作してきました。彼女は、水彩絵具を何層にも重ねたり、落としたりする手法を用いて絵画空間を変容させていきます。この動きの積層によって、連続性を持った画面上に様々な階調の透明度と不透明度を出現させるのです。図と地が拮抗している写真のネガを見ているかのような絵画は、不安定な空間を生み出しつつも、はっきりとした物質的存在感を放っています。
本展では、複数のパネルからなる大型絵画作品「Stage (After Schwitters)」とともに、より小規模な絵画作品6点が展示されます。1920年代中頃、シュヴィッタースは「ノーマルビューネ(Normalbuhne)」)(「標準的な舞台」もしくは「ノーマルステージ」)という劇場のコンセプトを構想しました。構成主義の合理性や機能性に影響を受けたシュヴィッタースが目指したのは、どんな脚本や作品形態にも対応しうる舞台の構成要素のデザインでした。彼は舞台装置一式と、それを使用するための技術的な指示書がすべての劇場に導入されることを想定していました。シュヴィッタースのデザインは、立方体、球、円、階段、長方形、正方形など抽象的な形状を用い、奥行きや錯覚を活かした舞台空間を作ることを可能にしています。
オットー・ナップの絵画では、シュヴィッタースの指示を基にした舞台装置を想起させながら、彼のコンセプトが可能にする新しい組み合わせや配置といった様々な可能性が示唆されています。
イベント情報
オープニング・レセプション: 9月7日(金) 17:00 - 19:00
会場情報
タカ・イシイギャラリー 東京 タカ・イシイギャラリー トウキョウ
Taka Ishii Gallery Tokyo
- 会場住所
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〒106-0032
港区六本木6-5-24 complex665 3F - ホームページ
- https://www.takaishiigallery.com/
登録日:2018年8月7日