ID:58493
画集刊行記念
上田薫展 KAORU UEDA
-ユレイカの瑞々しい耀き-
会場
名古屋画廊
NAGOYA GALLERY, co.,ltd
会期
6月30日(土)-7月10日(火)
展覧会概要
画集刊行記念 上田薫展 ウエダカオルテン -ユレイカの瑞々しい耀き-
KAORU UEDA
「写真はイメージです」上田薫。ひたすらにイメージであること
「写真はイメージです」…商品を紹介するチラシなどの印刷物の隅のほうに小さく印字されていることが多い短文。ほぼ同語反復であって、文章としては無意味に近い。実際には、印刷された写真と一体となってかろうじてその意味を伝える。「写真は(現実ではなく)イメージです」という意味がそのとき浮上してくる。
しかし、「写真」という言葉には「真」という漢字が含まれている。ひとはどうしても「真実」あるいは「現実」の反映をそこに期待してしまうのだ。
その期待をあえて踏み抜いて、それがどこまでも「イメージ」であることを看破する。
1958年に南画廊で画家としてデビューを飾った上田薫が、いったん絵画制作を中断し、1970年を境に、抽象表現主義的な身振りや感情の「真実」や「現実」を脱ぎ捨て、イメージそのものに収斂しえた背景にはそのような洞察があった。
いうならばイメージを裸にした。イメージにまつわる夾雑物をきれいに取り除いた。広告宣伝がオブジェとしての商品を主役にするように、上田薫も、たとえば中空で割れて中身が流れ落ちる生卵だけを描いた。それは空虚ななにもない空間に宙吊りにされている。細部はどこまでもリアル。だが、状況は非リアルである。あくまでもイメージはイメージでしかないからだ。
そのことを洞察した上田薫のイメージ群は、いまなお驚くべきイメージの純度と強度を保っている。
「写真はイメージです」…そのメッセージを画家は発見した。「ユレイカ(我、発見せり)」の瑞々しい耀きがそこには宿っている。
水沢 勉(神奈川県立近代美術館館長)
会場情報
名古屋画廊 カブシキガイシャナゴヤガロウ
NAGOYA GALLERY, co.,ltd
- 会場住所
-
〒460-0008
名古屋市中区栄1-12-10 - ホームページ
- https://www.nagoyagallery.co.jp/
登録日:2018年7月31日