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虎尾 裕 「針峰峡谷」 Yutaka Torao "Needle Peak Canyon"
会場
ヒノギャラリー
hino gallery
会期
2018年5月28日 ー 2018年6月16日
展覧会概要
虎尾 裕 「針峰峡谷」 トラオユタカ「シンポウキョウコク」
Yutaka Torao "Needle Peak Canyon"
ヒノギャラリーでは2018年5月28日(月)より「虎尾裕 針峰峡谷」を開催いたします。
虎尾裕の弊廊での初個展は1998年、安山岩を素材にした《群生林》と題したシリーズの展覧会でした。陰影が宿るよう岩肌は面でカットし磨かれ、単体としても自立する量感のある作品3点で構成された展示でした。《群生林》シリーズはその後十年程続き、2010年頃からは《稜線》と題されたシリーズが始まります。それまで主として用いてきた石材とは異なる種類の大理石や伊達冠石を使い、その形態はより水平構造を意識したものへと変化していきます。タイトルが示すように、作品には実際の山脈に見られるような悠々とした稜線や尾根筋のような形が現れ、それはまた龍や起伏状の背を持つ何かの生物のようにも見え、形態の特徴が際立つシリーズとなりました。続く2015年、前回の弊廊での個展では大理石と井内石を素材とした《針峰群》を発表します。二種類の石からそれぞれつくられた水平と垂直の二つの構造の作品は、空間に縦横の拡がりを持たせ展示室を独特な場へと変容させました。この頃から作品の表面には面を意識したものではなく、線や珠といったより細かなディテールが現れるようになります。今回発表する新作シリーズ《針峰峡谷》も主に大理石と井内石からなるもので、その表面には同様の表現が見られます。大理石に施された細かな凹凸は白い地肌に柔らかな影を落とし、一方で、濃い灰色の井内石には鑿跡の白線が鮮烈に浮かび上がります。それは霧に霞む山肌や、雨に濡れる山林を彷彿とさせ、作品をより情景的なものへと転化させています。作家は常々、山容をただ石に落とし込むのではなく、そこに大気や湿度、果ては音や気配といった山を取り巻く様々なエレルギーを同時に創出できればと考えています。虎尾の作品はどれも単体で成立するものですが、インスタレーションとして展示された時に立ち上がるあの自然の中に見るような、あるいはそれとは全く別の特異な景色は、作家のそうした試みや意識によって創生されるのかもしれません。
弊廊では約3年ぶりの個展となります。はたして今回はどのような風景が立ち現れるのでしょうか。是非ご高覧ください。
- 展覧会ホームページ
- http://www.hinogallery.com/2018/1831/
会場情報
登録日:2018年6月26日