ID:54608
松本 陽子 「振動する風景的画面」 Yoko Matsumoto "Landscape-Like Surface Vibrates"
会場
ヒノギャラリー
hino gallery
会期
2017年4月10日 ー 2017年4月29日
展覧会概要
松本 陽子 「振動する風景的画面」 マツモトヨウコ「シンドウスルフウケイテキガメン」
Yoko Matsumoto "Landscape-Like Surface Vibrates"
ヒノギャラリーでは2017年4月10日(月)より「松本陽子 振動する風景的画面」を開催いたします。
松本陽子ほど絵画に魅了され、描くことへの情熱を絶やさない画家はいないでしょう。1960年東京藝術大学油画科を卒業し、画家として活動を始めた松本は、その華々しいデビューとは裏腹に、素材である油絵具の特質にどこか馴染めずにいたといいます。そんな中、60年代後半、1年ほど滞在することとなったニューヨークでアクリル絵具と出会います。発色良く、水で明暗や透明度を調節できるこの画材は、のちに「朦朧絵画」と呼ばれる松本の代表作であるピンクの抽象画シリーズを生みだしました。21世紀を迎えると同シリーズは一種の達成感をともない、作家を次なる展開へと後押しします。それが2005年から現在まで取り組んでいる緑の油彩画シリーズです。緑の絵画への挑戦は松本にとっていわば宿望であり、それを実現させるには再び油絵具を手にとることが必要でした。かつて素材に抱いた違和感はしかし、作家のそれまでの修練と緑の絵画への強い希求によってむしろ新たな表現へと転化され、アクリル画のように軽やかで茫洋と、しかし油彩ならではの謹厳さも湛えた松本陽子にしか描けない緑の抽象画を確立させたのです。
今回発表する200号の新作は、油彩と木炭による重層に加え、オイルパステルの線描が疾風怒濤のごとく画面を縦横に走り、見るものの視点を絶えず内外へ誘導させるドラマティックな作品となっています。展覧会タイトルにも冠された「振動する風景的画面」はまさに本作を示すに相応しいものですが、92年から度々松本作品に付される同タイトルは、これまでの表現を育みながら、さらなる変革に挑む作家の姿勢も反映しています。描く行為の果てにある未知の景色を見てみたい、その原始的で純粋な不変の情熱が、作家をキャンバスへと向かわせ続けているのでしょう。今回も驚嘆させてくれるに違いない松本陽子の新作をどうぞご高覧くださいませ。
- 展覧会ホームページ
- http://www.hinogallery.com/2017/1515/
会場情報
登録日:2017年7月4日