ID:5043

〈Piece For Peace 2002 五人の反戦画家〉

会場

原爆の図 丸木美術館

Maruki Gallery for Hiroshima Panels

会期

2002年10月1日(火) ~ 2002年12月21日(土)

展覧会概要

〈Piece For Peace 2002 五人の反戦画家〉 ピースフォーピース2002 ゴニンノハンセンガカ

〈五人の反戦画家〉展に寄せて―針生一郎
昨年末から今春まで、丸木美術館で開催された〈Piece For Peace 2001 ――「Oh No! 報復戦争」詩画展〉の出品作家中、多くの注目を集めた五人の画家をとりあげ、前回とは別の作品を数点ずつ展示する。とはいえ、彼らはいずれも自己の戦争体験に固執する、反戦絵画家として有名なわけではない。むしろ、これまで「平和」な日常に背をむけ、あるいはそれを突きぬけて幻想やブラック・ユーモアをくりひろげてきた作家たちに、グローバル化した世界帝国の支配者気取りのブッシュ政権が、自爆テロの形で露呈した内乱=革命の可能性を予防するため、精密工業化した武器を駆使して一方的攻撃を加え、無数の死傷者や難民を残す戦争の現実が、一挙に追いついたといえる。そこに彼らの作品の新鮮さと興味深さがある。
個別的にみると、デザイナーである佐藤俊男は天皇や各国元首と兵士・民衆・その生活情景を、写真の転写によるモンタージュで矛盾をきわだたせながら、痛烈にまたユーモラスに批評する作風をつづけている。上條明吉は山野にかさなり横たわる骸骨の群れに、多年私的な好みで固執してきたのが、本人にも意外なほどにわかに公的、普遍的な意味をおびてきた。西元利子は書から出発したが、フェミニズムの思想から文字と文字を変形したイメージを組みあわせて、従軍慰安婦の苦悩を追求するうち、いや応なく戦争の状況全体にたちむかわざるをえない地点にさしかかった。加藤義勝は国家の枠とともにヒューマニズムの枠をこえて、幻想を宇宙的に拡大したユートピアないしデトーピアを絵画と小説でさぐってきたが、アフガン戦争こそまさに彼のデトーピア幻想の現実化とみえたことだろう。水谷イズルはアジアのフォークロア的幻想を絵画とインスタレーションで追求してきただけに、アフガン、イラク、パレスチナなどの民衆の視点で、容易に戦争を冷眼視することもできたと思われる。
これら五人の眼で見ると、今もつづく戦争や占領の本質が新しく照らし出されるにちがいない、とわたしは信じている。

出品作家:加藤義勝・上條明吉・佐藤俊男・西元利子・水谷イズル

主催者
原爆の図 丸木美術館
休催日
月曜日(祝日の場合はその翌日)
観覧料
大人 700円
中高生 500円
小学生 350円
※20名以上団体は100円引 その他割引あり
展覧会ホームページ
http://www.aya.or.jp/~marukimsn/
展覧会問合わせ先
tel:0493-22-3266

会場情報

原爆の図 丸木美術館 ゲンバクノズマルキビジュツカン

Maruki Gallery for Hiroshima Panels

会場住所
〒355-0076
東松山市下唐子1401
更新日:2010年5月17日
登録日:1999年3月31日