ID:4657
ガラスに描く,光と彩りの2000年
古代エジプトからグラス・アートまで
会場
サントリー美術館
Suntory Museum of Art
会期
2002年7月16日(火) ~ 2002年9月1日(日)
展覧会概要
ガラスに描く,光と彩りの2000年 ガラスニエガク,ヒカリトイロドリノニセンネン 古代エジプトからグラス・アートまで
人は器を作るとき、絵を描いたり、文様を施したりして飾ろうとします。器そのものの形態を愛でる場合と同様に、それは創作の歴史の中で自然に行われてきた行為でした。ガラス器の場合も例外ではありません。すでに紀元前8世紀頃の新アッシリアの遺跡から、何らかの顔料を用いて彩画したガラス片が出土しています。
「ガラスに描く」といっても、その手法はさまざまです。紀元前後に始まる「エナメル彩」は、ガラス質の粉を溶いて絵付けし、低温で焼き付ける技法です。エジプトから出土した紀元1世紀のガラス片には、この技法で鳥のモティーフが描かれています。13,14世紀頃のイスラム・グラスでは、「エナメル彩」に加え、金で描く「金彩」とで、器全体を覆い尽くすほどの装飾が施されました。エナメル彩は、その後ヴェネチアを通して、ヨーロッパ各地に広まります。単彩の、あるいは多彩のエナメル彩は、宗教画、肖像画、寓意画、風俗画など、さまざまな題材を彩っていったのです。
日本の江戸期のガラスには、素地ガラスの性質の違いから、「油彩」や「蒔絵」が用いられました。鮮やかな色彩美を生み出した絵付けですが、「ガラスに描く」という行為は、手法によっては、ガラスの透明性を妨げるという側面もはらんでいます。日本のガラス器は、描いて彩るというより、むしろガラス素地そのものの彩りを楽しむ場合が多く見られます。
一方、ガラスが透明であることから発想を逆転し、ガラスの裏側や内側から絵を描いた例も見られます。14世紀頃のイタリアに始まり、中国や日本へも伝播されたガラス絵は、板ガラスの裏側から「油彩」や「泥絵具」によって絵付けされています。また、中国の鼻煙壺(嗅ぎたばこ入れ)や日本のガラス徳利には、器の内側から「水彩」や「油彩」を用いて人物画や山水画が施されています。こうして描かれた図像は、ガラスによって保護され、当初の輝きを失うことなく保ちつづけるのです。
このように、「ガラスに描く」ことは、素材の持つ透明性と係わり合いながら、太古の時代から独自の発展を遂げてきました。本展では、エナメル彩、金彩、油彩などを用いて外側あるいは内側・裏側から描かれたガラス作品や新しい発想とさまざまな絵付け法によって拡張し続ける現代のガラス作品などの優品142件により、2000年のガラスの歴史を辿ります。
- 主催者
- サントリー美術館
- 休催日
- 月曜日
- 観覧料
- 一般1000円、高校・大学生800円、小・中学生600円(10名以上の団体は、各100円割引き)
- 展覧会ホームページ
- http://www.suntory.co.jp/sma/
- 展覧会問合わせ先
- TEL:03-3479-8600
会場情報
サントリー美術館 サントリービジュツカン
Suntory Museum of Art
- 会場住所
-
〒107-8643
港区赤坂9-7-4 六本木・東京ミッドタウン ガレリア3階 - ホームページ
- http://suntory.jp/SMA/
- 問い合わせ先
- Tel 03-3479-8600
登録日:2000年10月17日