ID:44602
収蔵品展
そこに在るということ
―歴史・美術にみる存在の印―
仮託する・典型化する・写し取る・痕を残す・痕を消す
会場
岡崎市美術博物館
Mindscape Museum
会期
平成26年12月2日[火]―平成27年1月18日[日]
展覧会概要
収蔵品展 そこに在るということ ソコニアルトイウコト ―歴史・美術にみる存在の印―
仮託する・典型化する・写し取る・痕を残す・痕を消す
そもそもあらゆる造形活動は、見えないものに形を与え、それらを残すためにあったのだと言えるでしょう。ルネサンス時代の理論家アルベルティが、「或る人々は、絵画というものは人々に礼拝された神々を表したものだと考えている。確かに絵画は死すべきものである人間にとっては、最も大きな賜物であった。つまり、われわれと神々とを結びつけ、またわれわれの魂を宗教心で満たしてくれるあの敬虔な気持を保つのに、絵画が大いに役立っているのである。」と述べたように、私たち人間は、洋の東西を問わず、本来、姿形をもたない神や仏を、象徴的な事物に置き換えたり、動植物の姿に仮託したり、あるいは具体的な「人形(ひとがた)」に表すことによって、祈りを捧げてきました。また同じく中世・ルネサンス以来、数多く描かれてきた肖像画も―いまでは写真がその役割を担っているとも言えますが―、すでに死んでしまった人間に、また死すべき運命にある人間に、半永久的なる命を与えるためにあるのだとも言えるでしょう。それらのうちには、一つの「型」として、長く受け継がれているものもあれば、写実に基づく「近似性」によって、形見のように受け継がれているものもあります。
一方、自画像はどうでしょうか。水面に写る自己を見つめるナルキッソス。その美しい姿に我と知らずに恋をしたナルキッソスは、やがて憔悴して死を迎える。この有名なナルキッソスの神話は、私たちが、鏡―いまでは、写真や映像―を介してしか己の姿形を知り得ず、自己のイメージは、他者の眼を通して、事後的にしか獲得できないことを示しています。それゆえ、多くの芸術家によって描かれてきた自画像は、「芸術家」としての自己を見定め、そのアイデンティティを確保しようとした彼/彼女らの試みの証とみることができるでしょう。そして、近年では、そのような近代的自我への疑いも込めて、敢えて、作品の中から自己の痕跡を消し去ろうとする作家たちの活動を認めることもできます。
本展では、岡崎市収蔵資料を基に、古く縄文時代の土偶にはじまり、東西の神々の造形、また、名もなき人々が残した存在の痕跡に加え、多くの作家たちが試みた肖像画や自画像まで幅広く取り上げ、「在る」ということ、在るという印について、探りたいと思います。
- 休催日
- 月曜日 (ただし1月12日[月・祝]は開館、翌13日[火]は休館。12月28日[日]~1月3日[土]は休館。)
- 開催時間
- 午前10時 ~ 午後5時
- 入場は午後4時30分まで
- 観覧料
- 一般 300円、小中学生 150円
- ●市内小中学生は無料 ●各種障がい者手帳の交付を受けている方及びその介助者は無料
イベント情報
展示説明会
日時:12月21日(日)・1月11日(日) いずれも午後2時~
担当:当館学芸員
会場:当館1階展示室
参加無料 *ただし当日の観覧チケットが必要です
会場情報
岡崎市美術博物館 オカザキシビジュツハクブツカン(マインドスケープ・ミュージアム)
Mindscape Museum
- 会場住所
-
〒444-0002
岡崎市高隆寺町峠1 岡崎中央総合公園内 - ホームページ
- https://www.city.okazaki.lg.jp/museum/index.html
登録日:2014年11月4日