ID:38096

あなたの肖像―工藤哲巳回顧展 Your Portrait: A Tetsumi Kudo Retrospective

会場

国立国際美術館

THE NATIONAL MUSEUM OF ART, OSAKA

会期

2013年11月2日(土)―2014年1月19日(日)

展覧会概要

あなたの肖像―工藤哲巳回顧展 アナタノショウゾウ―クドウテツミカイコテン

Your Portrait: A Tetsumi Kudo Retrospective

「あなたの肖像」は、工藤哲巳が最も好んで使用した題名のひとつです。「あなた」とは、作品をご覧になるあなたのことであり、既成の価値観や約束事に縛られた私たちのことです。と同時に、自作の最初の観客である工藤自身をも指します。それはまた、今なお制御不能な状態が続く放射能による環境汚染から逃れられない人類の肖像でもあるのです。眼球や鼻がトランジスタとともに養殖され、肥大化した大脳が乳母車に乗せられ、男性器が小魚と一緒に水槽内を泳ぎ、遺伝染色体による綾取りをする人物が鳥籠の中で瞑想するなど、工藤の作品はおぞましく不気味に見えるかもしれません。それは、悲惨な未来の地獄郷でしょうか。いやそうではなく、そのようにしか生き残れない人間と自然とテクノロジーとが渾然一体となった、逆説的なパラダイスにほかなりません。工藤哲巳(1935-1990)は、大阪に生まれ、少年期を父の出身地青森で暮らし、1945年に父が早世した後、母の郷里岡山で高校までを過ごしました。東京藝術大学在学中から、戦後の前衛美術の牙城であった読売アンデパンダン展に出品し、篠原有司男や荒川修作らとともに「反芸術」世代の代表格となりましたが、1962年に国際青年美術家展での大賞受賞を機に、渡仏しました。その後、約20年、パリを本拠に、ヨーロッパを活動の場として、文明批評的な視点と科学的な思考とを結びつけた独自の世界を展開しました。
工藤は、性や公害、原子力など、人間の生存に関わる根源的な問題やタブーに果敢に斬り込んで、近代ヨーロッパのヒューマニズム(人間中心主義)を批判、攻撃し、挑発的な作品と刺激的なハプニングを通して、ヨーロッパを治療しようとしたのです。
1969年に一時帰国し、巨大な岩壁レリーフ《脱皮の記念碑》を千葉県房総の鋸山に制作。
1970年代の中頃からは、攻撃の目標が芸術家自身に向けられ、一転して内省的、自画像的な作品が現れます。
1980年代に入ると、「天皇制の構造」や「色紙」の連作などを発表して、日本の社会構造を根幹から見つめなおす作品を展開します。
1987年には母校の東京藝術大学の教授に就任しましたが、1990年11月12日に55歳の若さで他界しました。
没後、国内では1994年に国立国際美術館で「工藤哲巳回顧展―異議と創造」が開かれましたが、近年、フランスやアメリカなど、国際的にも再評価の気運が高まっています。本展は、国内では20年ぶりの大回顧展です。今回の回顧展では、初期の絵画から、鳥籠や水槽などを使った多彩なオブジェやデッサンなど、国内所蔵の作品をほとんど網羅するほか、アムステルダム市立美術館、ウォーカー・アート・センター、ゲント現代美術館(S.M.A.K.)、ニューヨーク近代美術館、ポンピドゥー・センターなど、日本初公開作品を含む海外からのコレクションとともに、工藤哲巳の30年余りにわたる活動を約200点の作品によって包括的にご紹介します。

主催者
国立国際美術館、東京国立近代美術館、青森県立美術館
協賛・協力等
協賛:一般財団法人安藤忠雄文化財団、公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団
助成:公益財団法人ポーラ美術振興財団 協力:日本航空株式会社
休催日
月曜日、年末年始<12月28日(土)~1月4日(土)>
ただし、11月4日(月)、12月23日(月・祝)、1月13日(月・祝)は開館、11月5日(火)、12月24日(火)、1月14日(火)は休館
開催時間
午前10時 ~ 午後5時
金曜日は午後7時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
観覧料
個人 一般 850円・大学生 450円、団体 一般 600円・大学生 250円
※団体は20名以上
※高校生以下、18歳未満、心身に障害のある方とその付添者1名は無料 (証明できるものをご提示いただく場合があります)
※本料金で「コレクション3」もご覧いただけます。
※無料観覧日:11月3日(日・祝)
展覧会ホームページ
http://www.nmao.go.jp/special/
展覧会問合わせ先
06-6447-4680 (代)

イベント情報

●国際シンポジウム…「工藤哲巳をめぐって」(仮)
アメリカで初めて工藤哲巳回顧展を企画したドリュン・チョン (前・ニューヨーク近代美術館アソシエイト・キュレーター、現・M+美術館チーフ・キュレーター)を招き、国内外の研究者や本展の担当研究員とともに、工藤哲巳の特異な世界について、幅広い見地から意見を交わし、理解を深める機会とします。
日時:2013年11月23日(土・祝) 午後1時~
場所:地下1階講堂
無料(定員100名・午前10時から整理券を配布します)/同時通訳付
主催:国立国際美術館、国際交流基金
協賛:公益財団法人ダイキン工業現代美術振興財団
※詳しいことが決まり次第、当館ホームページにてお知らせします。

●ギャラリートーク
①日時:2013年11月9日(土) 午後2時~
講師:中井康之 (当館主任研究員)
②日時:2013年12月7日(土) 午後2時~
講師:島 敦彦 (当館学芸課長)
場所:地下3階展示室 無料(要観覧券)
午後1時30分から聴講用ワイヤレス受信機を貸し出します(先着90名)

●上映会
記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録」(1970年)
①日時:2013年11月30日(土) 午後2時~
②日時:2014年1月11日(土) 午後2時~
場所:地下1階講堂
無料(定員130名・午前10時から整理券を配布します)

会場情報

国立国際美術館 コクリツコクサイビジュツカン

THE NATIONAL MUSEUM OF ART, OSAKA

会場住所
〒530-0005
大阪市北区中之島4-2-55
ホームページ
http://www.nmao.go.jp/
更新日:2024年10月22日
登録日:2013年5月14日