ID:32985

沖縄復帰40年記念特別公開

琉球の紅型

会場

日本民藝館

Mingeikan/The Japan Folk Crafts Museum

会期

2012年9月4日(火)―11月24日(土)

展覧会概要

沖縄復帰40年記念特別公開 琉球の紅型 リュウキュウノビンガタ

日本民藝館は沖縄とは縁が深く、沖縄の染織の優品を持つ美術館として知られています。
当館創立者の柳宗悦は学習院高等学科時代に、同級生の尚昌(しょうしょう)侯爵の知遇を得て紅型(ビンガタ)の美しさを知りました。『工藝』第49号(昭和10年)の挿絵には紅型3点を掲載して日本の型染中で最も美しいものと評価し、日本民藝館開館から間もない昭和13(1938)年1月には「琉球染織」特別展観において、紅型や織物などを展示しました。そして同年暮れには琉球の工芸を学ぶために長年待ち望んだ沖縄に渡り、沖縄の文物に触れ、その感動を雑誌『工藝』での特集や著作「琉球の富」等で伝えています。一方、柳に同行した染色家の芹沢銈介や岡村吉右衛門は首里に長期滞在し、当時僅か数軒の職人が仕事をつないでいた紅型を調査研究し、そこから学んだ染物を本土で制作しながら、紅型の琉装から和装への移行に力を貸しました。
柳宗悦は「紅型を見ると模様の美しさに打たれ、其の不思議さに打たれる。型染で是程までに優れたものが他にあろうか」(『工藝』第49号、昭和10年)と、琉球の染物師が染めた紅型を讃えています。日本民藝館所蔵の紅型の多くは19世紀のものであり、昭和10年代に蒐集され、からくも戦禍をまぬがれたものです。
紅型は、15世紀初期に成立した琉球王国で、中国、日本、東南アジアなどの影響のもとに、18世紀に今見られるような染物になったと考えられています。紅型の「紅」は色を「型」は文様を意味します。
紅型には型紙を使う型染と、糊筒を使いフリーハンドで文様を描く筒描(つつがき)があります。型染は主に衣裳に施されました。型紙は小刀で突き彫りにします。大きな型紙で肩と裾に異なった大きな文様を染めたもの、中位の型紙を繰り返し送って染めたもの、二種類の型紙で小紋を重ね染めしたものなど様々です。染め方は、白生地に型紙を置き、その上から糯米(もちごめ)と米糠(こめぬか)で作った糊を塗って防染(ぼうせん)し、文様部分に顔料や染料で色を刷り込みます。同じ型紙で色違いも染めました。華やかなイメージのある紅型ですが、藍一色の清々しい藍型(エーガタ)もあります。その素材は絹や木綿の他、苧麻(ちょま)や桐板(トンビャン)など暑い沖縄に相応しい清涼感のあるものも多く見受けます。
文様は松竹梅をはじめ桜・桐・菖蒲・牡丹・鶴・雁・水鳥・鳳凰・風景など和風や中国風のものが多く、雪持ち笹や紅葉など南国沖縄では見られない題材が描かれるなど興味深いものです。高度な染技で、多くは表裏両面から染められています。黄や赤などの大柄の衣裳は王家や士族などの上流階級で使われ、庶民は祭りや祝いの限られた場で小さな柄を用いることが出来ました。
一方筒描は、風呂敷(ウチュクイ)や村芝居の幕に使われました。苧麻の生地に竹の弓を張り、筒に入れた糊で牡丹唐草や吉祥文様に輪郭を描いて防染し、文様に顔料で色差しし、地を藍で染めます。筒糊の力強い白く太い線は華やかな文様を引き立てています。
この度の特別展では二階大展示室とその周囲に「紅型」を展観していますが、損傷や退色のために普段は展示を控えているものまで特別に公開します。日本民藝館の紅型の世界をお楽しみください。

休催日
月曜(祝日の場合翌日休館)
開催時間
10:00 ~ 17:00
入館16:30迄
観覧料
一般1,000円 大高生500円 中小生200円
展覧会ホームページ
http://www.mingeikan.or.jp/events/special/201209.html

イベント情報

記念講演会 紅型の魅力 [講師]駒田佐久子(染色家)
10月27日(土) 18:00―19:30 会場・日本民藝館大展示室
料金・300円(入館料別) 定員・100名(要予約、TEL.03-3467-4527)

会場情報

日本民藝館 ニホンミンゲイカン

Mingeikan/The Japan Folk Crafts Museum

会場住所
〒153-0041
目黒区駒場4-3-33
ホームページ
https://www.mingeikan.or.jp/
更新日:2012年8月26日
登録日:2012年2月25日