ID:32344
日本コラージュ・2012
会場
ギャラリイK
Gallery K
会期
1月9日(月)~28日(土)
Part 1 1月9日(月)~14日(土)
Part 2 1月16日(月)~21日(土)
Part 3 1月23日(月)~28日(土)
展覧会概要
日本コラージュ・2012 ニホンコラージュ・2012
創作と創造の狭間に立ち尽くす造形
2004年から始まったギャラリイK企画グループ展「日本コラージュ」は、造形言語で【日本】を考え、感じ、表現することをテーマとし、【コラージュ】は技法のことではなく、個々の多様な表現が出会うことで展覧会全体としていまの日本がコラージュされる、という意図を貫いている。
現在の【日本】の考察程、[苦悩]と[責務]が圧し掛かってくることはないであろう。我々は何れ死ぬ。「復興」という言葉によって過去の記憶として閉じ込められるのではなく、未来においても我々は同様に、必ず死ぬのだ。この現実を突き付けられ、発生した[苦悩]から誰も逃れることは出来ない。実験を含めた原子爆弾、各国の原子力発電所の事故による放射能の拡散は、20世紀中頃から起こってしまっていた。今回の地震による福島原子力発電所の崩壊は、未だに鎮火する方向性が定まらない。放射能は何時まで飛び交うのか。その影響によりどれだけ広範囲に被害が増大するのか。晴れた日に、空を見上げてみよう。風の力によって、雲がゆっくりと動いている。空気は循環しているのだ。地球上に広がった放射能が消え失せるためには、何百年の時を有するのであろう。それは【日本】の[責務]が果たされる猶予と同様だ。
このような状況下で、どのような作品が生み出されていくのだろうか。芸術は人間の文化の根底を為している。人類は文化を育むために、[概念]を創り出した。概念は規約に転じ、規約は体制に絡めとられる。古来、体制に対して有効な手段であった芸術は最早、体制の道具に転じてしまっている。この現実を悲観することはない。制度的な美術という[概念]と、人間が生み出す[造形]は、全く立つ位置が異なるからだ。我々は[概念]を生み出し文明を進化させると共に、[造形]を用いて文化の根底へ帰還するという矛盾した作業を繰り返さなければならない。[概念]を打ち破る唯一の術が[造形]なのだ。[造形]の根底に流れているのが【コラージュ】である。自らの発想を自らの指であっても、例え[概念]が生み出した道具ででも、他の媒体に転写すること。言葉、身振りを以ってしても、自己の身体の中から外の世界へ伝達すること自体が【コラージュ】なのである。
作り出された【日本】と創り出していく【コラージュ】、この相反する二つの裂目に立脚する/した事実は、人類が生み出した時空間という[概念]を乗り越えて[造形]化されなければならない。身体でしか感じられないその瞬時を、私は長く待ち侘びている。
宮田徹也(みやたてつや 日本美術思想史研究)
- 休催日
- 日曜休み
- 開催時間
- 11:30 ~ 19:00
- 土曜~17:00
会場情報
ギャラリイK ギャラリイK
Gallery K
- 会場住所
-
〒104-0031
中央区京橋3-9-7 京橋ポイントビル4F - ホームページ
- http://homepage3.nifty.com/galleryk
登録日:2011年12月24日