ID:28627
奈良原一高『人間の土地』
緑なき島―軍艦島
会場
長崎県美術館
Nagasaki Prefectural Art Museum
会期
2010年4月20日(火) ~ 2010年6月13日(日)
展覧会概要
奈良原一高『人間の土地』 ナラハライッコウ『ニンゲンノトチ』 緑なき島―軍艦島
福岡県に生まれた奈良原一高(1931-)は、父親の転勤により、3歳から6歳までを長崎市内で過ごしました。国際貿易港である長崎の町並みや華やかな生活は、少年時代のなら奈良原の眼に色彩豊かな世界として映り、長崎を離れ移り住んだ次なる町は、まさにモノクロームの世界にしか見えなかったといいます。この幼少期の長崎滞在は、奈良原の色彩感覚と、後にパリやニューヨークで活躍することとなる異国への関心の基をつくったと、自身回顧しています。
早稲田大学大学院生時代、再び父親が長崎勤務となり、上野撮影局跡に程近い長崎の旧市街地で休暇を過ごしました。そのとき、奈良原は九州一周旅行をし、長崎県の端島(軍艦島)と鹿児島県の桜島(黒神村)を訪れました。石炭採掘のため、人工的に作られ、巨大な建造物に覆われた島と、自然の力に支配された島。対照的なふたつの島で孤立し生活する人々に彼は強く惹かれ、両島を撮影することとなりました。「東京に帰っても、そのイメージは僕の身体から消えようとはしなかった。不毛に近い自然のエネルギーの中で生きようとする人々、現代社会の構造的エネルギーに囲われて生きている人々、いずれもそこに、その閉ざされた世界に、隔絶されたその場から逃げることなく、限界状況を生き続ける人間の生を見たように思った。やがてふたつの舞台はひとつのコンセプトとなって僕の頭の中で結晶し始める、そして〈人間の土地〉というタイトルが浮かんできた。『思い立った者が行わなければならない』その時、僕はひとつの声をきいたような気がした。その声に誘われて、いままで写真と関係のなかった美術学生は、初めて自分のカメラを手にして、ふたつの島へ撮影の旅に出かけることになる。」
と奈良原が述べているように、評論する立場を目指し美術史を学んでいた奈良原は、制作者へと大きく方向転換を行う第一歩を、ふたつの島で踏み出しました。その舞台のひとつとなったのは、奇しくも子ども時代を過ごし、また日本における写真発祥の地のひとつでもある長崎の沖に浮かぶ島でした。
- 主催者
- 長崎県美術館
- 休催日
- 第2・第4月曜日(休日・祝日の場合は火曜日が休館)
- 観覧料
- 一般400(320)円、大学生・70歳以上300(240)円、小中高生200(160)円
※( )内は15名以上の団体料金
※長崎県内の小中学生は無料 - 展覧会ホームページ
- http://www.nagasaki-museum.jp
- 展覧会問合わせ先
- 095-833-2110
会場情報
長崎県美術館 ナガサキケンビジュツカン
Nagasaki Prefectural Art Museum
- 会場住所
-
〒850-0862
長崎市出島町2-1 - ホームページ
- https://www.nagasaki-museum.jp/
登録日:2007年1月15日