ID:27136

生誕120年 野島康三展

―ある写真家が見た日本近代―

会場

京都国立近代美術館

THE NATIONAL MUSEUM OF MODERN ART, KYOTO

会期

2009年7月28日(火) ~ 2009年8月23日(日)

展覧会概要

生誕120年 野島康三展 セイタン120ネン ノジマヤスゾウテン ―ある写真家が見た日本近代―

野島康三(煕正1889-1964)は、大正期の絵画主義写真から昭和初期の新興写真の時代にかけて活躍した、わが国の近代写真の誕生と展開において最も重要な写真家の一人です。絵画主義の影響を色濃く残す「芸術写真」の隆盛期に写真を始めた野島は、当時主流であったピグメント印画技法を用いて卓抜な技術と繊細な感覚に裏付けられた濃密で重厚な写真作品を制作しました。その後ドイツ新興写真に触発された野島は、1930年代に大胆なトリミングを駆使したゼラチンシルバー・プリントへとその作風を大きく変化させ、写真独自の表現を追求していきます。特に写真家の中山岩太(1895-1949)と木村伊兵衛(1901-1974)とともに創刊した写真雑誌『光画』(1932-33)は、出版資金の大部分を野島が負担し、海外の主要な写真論を紹介するとともに若い世代の写真家たちに発表の場を提供し、その後の新興写真の展開において極めて重要な役割を果たしました。
その一方で野島は、私財を投じて東京神田神保町に開設した画廊「兜屋畫堂」(1919-20)や自邸のサロンで梅原龍三郎や岸田劉生など『白樺』派を中心とする気鋭の美術家たちの展覧会を開き、その活動を経済的・精神的に支援しました。同時代の美術の擁護者として野島は、画廊経営だけでなく、美術雑誌や作品集に収載するための美術作品の撮影の仕事にも携わっています。今回の展覧会では、野島の代表的な写真作品とともに、夭折した彫刻家・中原悌二郎(1888-1921)の遺作集(『中原悌二郎作品集』、1921)と、陶芸家・富本憲吉(1886-1963)が1920年代に精力的にその制作に取り組んだ図案集(『富本憲吉模様集』、1923-27)における野島の仕事に着目し、その業績をとらえ直すことを試みます。
生誕120年を記念して開催する本展では、野島康三遺作保存会の寄贈による当館所蔵の野島作品を中心に、中原と富本の作品集制作に関連する作品・資料を加えた約200点により、野島の作品世界と美術擁護者としての彼の活動を紹介します。野島康三という一人の写真家の眼差しの変遷を追うことは、1920年代から30年代の日本人の「近代の視覚」の生成過程を検証することでもあります。

主催者
京都国立近代美術館、京都新聞社
休催日
毎週月曜日
観覧料
一般850(600)円、大学生450(250)円
※( )は20名以上の団体
※高校生及び18歳未満、心身に障害のある方と付添者1名は無料(入館の際に証明できるものをご提示ください)
展覧会ホームページ
http://www.momak.go.jp/
展覧会問合わせ先
代表:Tel.075-761-4111 テレホンサービス:Tel.075-761-9900

会場情報

京都国立近代美術館 キョウトコクリツキンダイビジュツカン

THE NATIONAL MUSEUM OF MODERN ART, KYOTO

会場住所
〒606-8344
京都市左京区岡崎円勝寺町
ホームページ
https://www.momak.go.jp/
問い合わせ先
京都国立近代美術館:Tel.075-761-4111
テレホンサービス(展覧会のご案内):Tel.075-761-9900
更新日:2010年11月9日
登録日:1999年3月31日