ID:17630
花園少女展
~かいち・フォーゲラー・華宵~
会場
高畠華宵大正ロマン館
Kasho Museum
会期
2007年4月6日(金) ~ 2007年6月10日(日)
展覧会概要
花園少女展 ハナゾノショウジョテン ~かいち・フォーゲラー・華宵~
小林かいちは、大正から昭和にかけて主に京都で活躍した画家です。絵封筒、絵葉書などにおいて展開されたそのデザインは「京都のアール・デコ」とも評され、非常に洗練された美しいものです。かいち作品は、アール・デコ風にアレンジされた花や少女をモチーフに、スタイリッシュでモダンな画面を構成すると同時に、大正時代の大衆文化の大きな特徴であるロマンティックな「抒情性」を感じさせます。谷崎潤一郎『卍』にもかいち作品の言及がみられるなど当時大きな人気を得ていたと推測できるにも関わらず、生没年も判明していない「謎の画家」であるかいちは、現在その画業の検証が最も望まれている画家のひとりです。
本展覧会は、小林かいちを紹介することを大きなねらいとしています。またこれまで一緒に考察されることがなかった小林かいち、高畠華宵、ハインリッヒ・フォーゲラーを比較展示することで、大正の文化に対する新たな視点を提示したいと考えています。この三者の組合せは、従来の事実検証に基づく一般的な美術史の観点からは奇異に見えるかもしれません。しかし、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍した三者には、アール・ヌーヴォー、アール・デコといった表現様式の違いや日本とドイツという活躍場所の違いがありながらも、花のモチーフと少女像を用い、「抒情性」を表現したという点での共時的な共通性を見出すことができます。
今回は、そのような三者を「花園少女」というキーワードでご紹介します。少女文化において「花」は、特別なモチーフだといえるでしょう。「花」は少女たちの心情を表現する媒体として多用されました。そして、少女たちがその花で「花園」を形成するとき、自然物であったはずの「花」は天然の色を失い、「花園」という人工的な空間を彩る存在となるのです。その花園は、現実世界から浮遊した世界であり、その中で少女たちは夢を見ることができました。「花園」は閉ざされているがゆえに、どこか秘密めいた匂いがします。大正時代の少女たちは「花」に敏感に反応し、それぞれが秘密の花園を心の中に抱いていたことでしょう。少女ではありませんが、佐藤春夫著『田園の憂鬱』の主人公が、有用な柿の木を切り、庭で薔薇を育てたのも大正時代のことでした。この閉鎖された空間性は、大正時代らしい感性のひとつだといえます。
- 主催者
- 高畠華宵大正ロマン館
- 休催日
- 水・木曜日(5月3日は開館)
- 観覧料
- 一般(中学生以上600円/小学生300円/
身体障害者手帳をお持ちの方 500円/
団体(20名以上)500円 - 展覧会ホームページ
- http://www.kasho.org/
- 展覧会問合わせ先
- 089-964-7077
会場情報
登録日:1999年3月31日