この度、常設展示室では所蔵作品の中から約50点の風景画を選び展示いたします。昔の西洋では風景画は独立したジャンルとして認められず、宗教画や歴史画の背景にすぎませんでした。17世紀ごろに風景画というジャンルが確立しますが、実際の風景が描かれることは稀でした。東洋では山水画として風景を描く習慣がありましたが、それも山岳を霊的な存在としてとらえたところから出発したもので、観念的・図式的に表現するのが普通でした。現実の風景が描かれるようになるのは、歴史的に見ればつい最近のことにすぎないといっても過言ではありません。それには社会構造の変化、絵画に対する人々の意識の変化、交通の発達、画材の進化などが関係しています。
風景画が独立したジャンルとして一般的に認められるようになると、画家たちはモチーフをもとめて方々の土地を旅するようになります。優れた風景画作品は、彼らの体験した旅の悦びを見るものに伝えてくれます。
画家とともに感動の地を巡る-
そんな気分で鑑賞してみてはいかがでしょうか。