美術館のコレクションを充実させるには、気の遠くなるような歳月が必要になる、とよく言われます。静岡県立美術館が美術品を収集し始めたのは1980年頃ですから、コレクション歴はまだ30年に満たないことになります。しかし、収集の歴史は浅いながら、そのコレクションには西洋美術の秀作がいくつも含まれています。それらの秀作は、欧米の大美術館に展示されても、まったく見劣りしないものばかりです。
今回の「西洋美術への招待」は、当館で所蔵する西洋絵画のエッセンスを中心に組み立てています。ヨーロッパの絵画は、聖書や神話の主題を扱う世界から、現実を映し出すリアリズムの世界へと変化していきます。17世紀のクロード・ロランやロイスダールから、ターナーやコンスタブルを経て、印象派のモネやピサロへ。そして、20世紀にはいり絵画は抽象へと向かう傾向を一気に強めます。
西洋絵画のエッセンスを公開するこの機会に、「ここならでは」の秀作の数々をお楽しみいただければ幸いです。