ふり返ると20世紀は、激動の時代でした。西洋では新たな価値観が芽生え、美術における転換期をむかえていました。一方、日本では、明治維新によって、ようやく近代化の道を歩み始め、先進的な西洋美術を取り入れて、新たな表現を模索していたのです。そのなかで、作家たちは、国家という全体的な枠組を超えて、自らの自由な表現を見つけ出します。誰のものでもない自分だけの風景、人間や物質のなかに秘められた内面性、そしてあらゆる物を超越し、時代を超えて伝わる感性。これらを生み出し、今も私たちに感動を与え、未来に向けた創造をうながしているのが、20世紀という豊かなる表現の時代なのです。