エリザベス女王を総裁に頂く英国王立園芸協会(以下、RHS)は、1804年に創立され、現在では35万人余の会員を有する世界最大の園芸愛好団体です。本展ではRHS創立200周年を記念し、協会収蔵の植物画2万数千点の中から、16世紀の植物図譜をはじめ、英国が園芸大国への道を歩んだ軌跡を示すオリジナル作品を中心に、129点を厳選し大系的に紹介します。
古来より建築・陶器・貨幣などの文様として描かれた植物のモチーフは、ルネサンス期に自然観察に基づいた緻密でリアルな描写の近代植物画として発展しました。そして、大航海時代を経て、探検家たちと共に未知の世界に乗り出した画家たちは、見知らぬ土地の風景や人、動植物を描き、植物画は黄金期を迎えます。
展覧会は「近代植物画の誕生」、「大航海時代の植物画の黄金時代」、「“植物画”―ジャンルとしての確立」、「植物画の衰退と伝統の継承」、「植物画のルネサンス」の、5つのテーマで構成されています。
近代植物画の出発点となったフックス(1501-1566)の植物図譜をはじめ、ナポレオン皇帝のお抱え絵師であったルドゥテ(1759-1840)の未出版書籍、ヴィクトリア女王に仕えた植物画家ウィザーズ(1793-1864)、また現在活躍中の作家の植物画などを紹介します。
植物画には、美しさ(アート)と精密さ(サイエンス)が融合された芸術世界が広がっています。その美しさと魅力をお楽しみ下さい。
植物画といえば、当館ゆかりの小磯良平(1903-1988)も武田薬品の機関紙『武田薬報』の表紙に、長年にわたり薬用植物画を描き続け、その写生の見事さは多くの人々の心をひきつけています。
今回、原画を所蔵する武田薬品工業株式会社の格別の御好意で、本展覧会に合わせて会場内に「キキョウ」「クコ」「アサガオ」など12点が特別出品されています。