20世紀初頭、美術に革命的な表現をもたらしたフォーヴィスト、キュビストたちは、どうしたことかみんなサーカスが大好きでした。ピカソ、マティス、ルオーたちは、なんども自分の作品にサーカスの芸人たちを登場させます。シャガールもその例に漏れず、サーカスの世界を度々描きました。シャガールにとっては、ピエロや軽業師は聖書に登場する聖人や英雄と同等の、偉大な存在でした。ギャグを振りまきながら理想を追い求める彼らは、現代社会に翻弄される人類の象徴として描かれます。シャガールは言います「・・・サーカスはもっとも悲しいドラマのように思える・・・」。
今回は当館所蔵の版画コレクションから、1967年に刊行された版画集《サーカス》を中心に、「サーカス」をモティーフにした作品をご紹介します。