島根県立石見美術館の開館を記念するこの展覧会では、ロシア国立エルミタージュ美術館のコレクションの中から、女性の肖像画に焦点をあて、16世紀初頭から19世紀末にいたる絵画55点をご紹介します。
女性美の表現は、いかなる時代においても芸術家にとって最も重要なテーマの一つであり、彼らはその魅力の表現に腐心してきました。今回出品されるクラナッハ、ティツィアーノ、ゴヤ、カロリュス=デュラン等による、ルネサンスから新古典へといたる400年間に制作された肖像画の数々は、画家たちの試みの最良の成果をしめしています。また、エカテリーナ2世をはじめ、オーストリアの女帝マリア・テレジア、皇帝ナポレオンの妻ジョセフィーヌなど、モデルには歴史に名をとどめる女性たちの姿もみとめることができます。さらに、モデルとなった女性たちが身にまとう衣装やアクセサリー、髪型などは時代の流行、あるいは美意識を色濃く映し出しており、当館のコンセプト「ファッション」の流れを知るための重要な手がかりをも与えてくれます。西欧における400年の美意識の変遷をつぶさに感じていただけるまたとない機会です。どうぞお楽しみください。