比田井天来(ひだいてんらい)(1872-1939)は、明治5年1月23日に望月の協和で生まれました。現代書の父と呼ばれ、現在の書芸術の基礎をつくった人物です。古典の研究から多彩な書風を開拓した天来は、古典の中から自ら学ぶことが重要であると考え、弟子たちにも自分の字を真似しないようにと指導し、手本を書きませんでした。そのため天来一門からは新たな前衛書を開拓した書家も多く輩出されています。
また、天来の妻・小琴(1885-1948)は、天来を支えるとともに、自らも仮名書道の第一線で活躍しました。
平成17年4月1日の合併により、新・佐久市が天来のふるさとになったことを記念し、佐久市立天来記念館と佐久市立近代美術館の所蔵品の中から、天来とその弟子たち、そして新たな展開を見せる書の流れを俯瞰します。もちろんこの広い書の世界の全てをご紹介できるものではありませんが、この機会に、さまざまな書芸術の表現をお楽しみ下さい。
また、望月の佐久市立天来記念館においても、天来の作品を中心に小琴や弟子たちの作品も展示していますので、あわせてご覧下さい。