当館の創設者である足立全康は、戦後大阪で事業を営み、そのかたわら幼少より関心のあった美術品を蒐集しました。そして昭和45年(1970)、それらの美術品をもとに、故郷山陰ひいてはわが国の文化発展の一助となればという思いをもって美術館を設立しました。現在、そのコレクションは近代日本画、陶芸を中心に総数約1300点にのぼります。とくに日本画については、東西の巨匠の名作を多く収蔵し、文・帝展などの官設展や院展などの展覧会への出品作品も多数含まれています。それら出展作は、それぞれの画家が一層の精魂を込めて描いたものですから完成度が高く、代表作と呼ばれるものが少なくありません。
本展では、コレクションの中核をなす近代日本画から、さらに選りすぐった名品である展覧会への出品作品を中心に展示いたします。これらの作品は、当館の特色を最もよく表すものであると同時に、近代美術史において重要な位置を占めるものといえるでしょう。この機会に、近代日本画の巨匠たちが描いた名品の数々を心ゆくまでお楽しみください。