スウェーデンの近代を代表する建築家、エーリック・グンナール・アスプルンド(Erik Gunnar Asplund 1885-1940)。
主任建築家を務めた《ストックホルム博覧会》(1930)で、北欧諸国にモダニズムの時代をもたらしたアスプルンドの作品は、「北欧モダン建築の原点」と位置づけられます。さらに代表作《森の墓地》(1940)では、スカンジナビアの雄大な自然を背景に、生命への尊厳への眼差しが、永遠なる自然の時間へと見事に昇華される建築とランドスケープの表現に到達しました。この《森の墓地》がユネスコの世界遺産に登録され、アスプルンド再評価の機運が高まっています。日本初のアスプルンド展となる本展は、図面・スケッチ・家具・模型に加え、吉村行雄氏撮影の写真と映像、さらに世界初公開となる若き日の絵画など、未発表作品や未完の計画案を含むアスプルンド作品の全貌を総覧いただけます。自然との共生が人類の最重要課題である今日、本展が自然と人との新しい関係を探るための一つの指針となれば幸いです。