土門拳は、風景をいわゆる風景写真としてわざわざ撮りに行ったことはありませんでした。『古寺巡礼』や『古窯遍歴』の道すがら、撮影の合間に、風景に惹かれ眼にひょっこり入ると、ついひょっこり撮ってしまった、と言っています。
しかし、それらの風景写真には、土門美学がよく出ています。彼は普通の人には見落としがちな風景を、独自の美意識で切り取って、確実に「絵」にしています。雨が降ろうが雪が降ろうが晴れていようが・・・。
今回の展示は、数多くの風景写真の中から、冬から春への季節の30点を展示いたします。
土門の眼と感性によって、ファインダーをキャンパス代わりに「描かれた」日本の美しさを、どうぞご覧ください。