土門拳の「古寺巡礼」というと、京都や奈良のお寺をイメージする方が多いかもしれませんが、その生涯において、東北から九州まで百カ所近くのお寺を撮影しています。特に晩年は、不自由な体にザイルを結び助手達と汗みずくになって険しい山を登ったり、車椅子の身で、手足となった助手とともに山坂や石段を登ったり、まさに精神力と体力をふりしぼっての撮影でした。
今回展示するのは、中尊寺、毛越寺、瑞巌寺、勝常寺、深大寺、瑞泉寺、永保寺、石塔寺、向源寺、三仏寺、日杵石仏群など、東北から関東、近畿、中国、九州まで日本全国のお寺です。
特に、藤原三代の栄華・中尊寺(岩手県平泉町)、敬愛した夢窓国師ゆかりの永保寺(岐阜県多治見市)、日本第一の建築と賞賛した三仏寺(鳥取県三朝町)などが見どころです。また、これまであまり展示する機会がなかった福島県会津の勝常寺のモノクロ作品も展示致します。