小野州一(1927-2000)は北海道千歳市生まれの油彩画家です。少年時代から詩や絵画に関心をもち、札幌第一中学校(現・札幌南高等学校)卒業後、画家を志して上京。独学で絵画を学び、自由芸術展や全道展に出品を重ね、また1961年には難波田龍起ら北海道出身の抽象画家と北象会を結成し注目を集めました。67年には初めてパリに渡り、73年から77年までは家族とともに長期で滞在。その間、パリの風景をはじめ、南仏やヴェネツィアにも繰り返し取材し陽光あふれる海の情景を描くなど新たな境地を開きました。帰国後の80年には第3回北海道現代美術展で北海道立近代美術館賞を受賞。その後は瀟洒でアンティームな室内画を多く手がけ、95年の北海道富良野市への移住後は、丘の風景を中心テーマとし旺盛な制作活動を続けました。
本展は、清新な詩情をベースとし軽快な線描と明るく深みのある色彩が響きあう小野州一作品の魅力を余すところなく紹介するものであり、初期から最晩年までの油彩画、水彩画、版画さらに絵本原画や装丁など約100点によってその画業をたどる初の本格的な回顧展です。