今、岡本太郎が、あらためて注目されています。
「芸術は爆発だ!」の挑発的な名セリフで、多くの日本人の記憶にのこる岡本太郎(1911-1996)。戦前パリでピカソやミロらの巨匠たちと交友した岡本は、ダイナミックな創造力を発揮して、戦後日本の美術界をリードし続けた前衛芸術家です。1970年大阪万国博覧会の巨大で奇抜なシンボルタワー「太陽の塔」で一般大衆の心をつかむ一方、「今日の芸術は、うまくあってはいけない/きれいであってはならない/ここちよくあってはならない」などの大胆でユニークな現代芸術観を、社会に向かって積極的に発言する行動力にあふれた類まれな人物でもありました。
岡本太郎が創造した各種の作品は、強烈な表現で貫かれた絵画をはじめ、原始的なエネルギーに満ちた生命体を想わせる立体やオブジェ、陶器、デザイン、写真など数多くあります。そのどれもが、ユーモラスかつ神秘的な魅力にあふれ、見る者の全身に迫ってきます。それは、高度な文明生活をおくる現代の私たちが、過去に切り捨ててきた自由で開放的な人間性を再び蘇らせる力を感じさせるものです。本展覧会では、こうした岡本の独創的な絵画、立体、デザイン、写真など約120点により、20世紀を駆け抜けた巨人・岡本太郎の実像をご紹介します。