永田萠の絵は、おもわず笑みがこぼれる楽しさと、人の心を柔らかく包み込むやさしさ、美しい色づかいが魅力です。その世界は、永田萠自身の幼いころの記憶と重なります。豊かな自然の中で遊んだ少女のこる、山や川、森には目に見えない神さまがいること、それを大事にする心を教えられました。永田萠の絵には、野の草花と無邪気にたわむれる愛らしい妖精たちが登場します。そこには画家の魂を慈しむ心、温かなまなざしが感じられます。
また永田萠は、美しい色をながめることが大好きで、目に映るものを形よりも色で覚えてしまう少女でした。永田萠の絵を彩るのは、カラーインクという絵の具です。それは鮮やかで明快な色も、はかなく柔らかな色も描き出すことができます。この豊かな表現力を持つ絵の具と、画家の色に対する鋭い感性とが溶けあって、永田萠独自の色が生み出されました。それは実に奥深く、見る者を幻想の世界へ誘います。
本展は画業30年を記念して、初期のイラストから最新の絹絵まで、代表作約100点を紹介いたします。花と妖精の画家・永田萠の夢あふれる世界をどうぞご覧ください。