伊丹市立美術館では、人生の喜びと厳しさや社会の矛盾を鋭く表現した美術作品を収集し、諷刺とユーモア、あるいは人間性の回復を理念に展示活動を行なっています。2001年から夏休みの展覧会として、市内の中学生とともに、美術家と「いのち」の問題を話し合い、討論してもらい、その成果を美術館で表現する展覧会として「いのちを考える」を企画しています。
「いのちを考える」は、地元の伊丹市中学校教育研究会美術部会の諸先生方や中学生たちと美術館のコラボレーションによるワークショップから展覧会に至る企画です。
今年度は、近年植物を素材に自然と人間の共生、イラクにおける劣化ウランの問題などに真摯に取り組んでいる美術家・山口啓介を講師に迎え、”植物との出会い””私の大切なもの”をコンセプトにワークショップから展覧会に繋げていくなかで、アートの可能性を探ります。
私たちは自然のなかで生きています。時に私たちは、身の回りの自然界について考える時間を持つことが必要なのではないでしょうか。私たちは楽しく快適に生きることを求め、多くの人々は当然のごとくそうした生活を送っています。そのために、大切な地球の環境や資源を損ねています。
周知のように今、地球温暖化現象、大気汚染、環境破壊といった問題が起こっています。地球上には人間だけでなく、動物、植物といった生きものも存在しています。つまり、人間は自然と共生しているともいえます。
地球上の自然界に異常な変化が生起している現状を美術家や市内の中学生たちとともに様々な角度から考え、熱く話し合い、討論した結果が展覧会として成立することをめざしています。
本展覧会が鑑賞者にも人間と自然界の関係について考える契機となり、”植物との出会い”から「いのちを考える」機会となることを願っています。