戦後の1950年代~60年代は、ふたつのアンデパンダン展や新設の画廊や美術館などを舞台に、アンフォルメル、具体、九州派、ネオ・ダダ、アメリカから紹介されたフルクサスなど、「反芸術」とも称された前衛芸術グループが次々と結成され、従来の芸術の価値を転倒するような熱気にあふれた運動が展開されました。本展では、こうした前衛美術運動に参加するか、あるいはその周辺で独自に新しい表現を希求した女性アーティストたちの作品を、1970年代前半まで通観いたします。戦後復興から高度経済成長へ向かう時代背景の中で、多くの女性アーティストたちは一時的に注目を浴びても、結局は運動の中心にいた男性アーティストの陰に隠されてしまい、充分な評価を得られなかった人が多いのではないでしょうか。あらためて今、当時の女性アーティストの多様な作品によって日本の前衛美術運動の歴史を振り返り、「前衛」とは何か、また「美術」と「女性」のあいだに介在する問題とは何かを問い直します。46作家による平面、立体、映像、約220点で構成。