シルクロード―――
オアシスに交錯した幾多の文明
サマルカンドやブハラ(ともに現在のウズベキスタン共和国)など中央アジアのオアシス都市は、古来、シルクロードの要衝として東西貿易や交流に大きな役割を果たしてきました。
古代ペルシア帝国の支配、稀代の英雄ティムールによる大建築群の建設、イスラム世界商業文化圏の成立、そして中国からローマにいたる双方向的な文化・文物の伝播。中央アジアのオアシス都市は、2000年以上にわたり西洋と東洋の文明が衝突し融合する「もうひとつの世界史」の中心でした。
今回の展覧会は、ウズベキスタンやタジキスタンの協力のもとに、シルクロードの要衝=中央アジア・オアシス都市に展開した文化とダイナミックな歴史を、ウズベキスタン共和国から文化財・美術品を中心に、金銀の宝飾品や装身具、陶器や金属器などの美術工芸品、ギリシア風の彫像や仏像、世界的に貴重なソグドの壁画、さらには地域によって異なる民族衣装やスザニをはじめとする刺繍布など300点を超える作品によって紹介します。
シルクロードに関する展覧会は日本でこれまで数多く開催されていますが、中央アジア(ウズベキスタンやタジキスタン)からこれほど大量の文化財を国内に持ち込むのも、またこうしたかたちで総合的に中央アジアの美術文化を展観するのも、今回が初めてです。