ロシアをはじめとする欧米の博物館・美術館には、江戸時代後期から昭和にかけて収集されたアイヌ民族資料が数多く収蔵されています。それらの多くは、各国の研究者・収集者が来日し、アイヌの集落を自分たちの足で歩いて収集したものです。
ロシア連邦サンクト・ペテルブルク市にあるロシア民族学博物館は、22コレクション約2,600点のアイヌ資料を収蔵していますが、そのほとんどは、帝国地理学会会員で堂博物館の嘱託職員であったV.N.ヴァシーリエフが1912年にサハリンや北海道平取などで収集したもので、収集年・収集地が判明していることと、日本に現存しないものが多くあることなどから、貴重な資料といえます。
本展では、その2,600点の資料を、男性の仕事・女性の仕事という視点から見るとともに、「文様の美」に焦点をあてて、200点の資料を借用・展示し、ロシアが見た島国の人々―20世紀はじめのアイヌ文化を紹介するものです。