日本における紙についての記録は、日本書紀にある推古18年(610)の高句麗の僧、曇徴の記述が最初です。そのため、紀元前2世紀頃に中国で生み出された紙の製法は、日本に610年に伝わったとされています。しかし、最近では実際にはもっと古く、渡来人の技術集団によってもたらされたのではないかと考えられています。
いずれにしても1400年近くもの長い年月、日本文化を支えてきた和紙は大切な素材です。伝統的な製法による和紙は、大変な手間をかけて純粋な植物繊維を傷めずに取り出して作られているので長期保存性も高いのです。こうした和紙の原料や製法・種類などが記された絵巻や和本・錦絵などを中心に展示、加工法についても解説します。
また和紙が、世界中で最も強靭な紙として多様な加工性を持ち、さまざまな生活用品の素材、例えば衣類・食器・革の代用品として利用されたことも併せてご紹介します。
なおこの企画展は、全国大学国語国文学会五十周年記念プレ大会協賛として行います。