ロシア、サンクトペテルスブルグ市の国立エルミタージュ美術館は270万点以上の作品を収蔵する世界屈指の美術館です。1764年に女帝エカテリーナ2世によって始められた宮廷コレクションは、200余年を経て、原始美術館、古代ギリシア・ローマ美術、東洋美術、西洋美術、ロシア文化史の5つの部門を有するに至りました。
愛知万博開催を記念する今回の展覧会では、同美術館の膨大なコレクションの中から、ヨーロッパにおける「女性の肖像画」に焦点をあて、16世紀初頭から19世紀末にいたる絵画55点をご紹介します。女性美の表現は、いかなる時代においても芸術家の最も重要なテーマの一つですが、ティツィアーノ、ゴヤ、カロリュス=デュランなど、ルネサンスから新古典へといたる400年間を代表する巨匠たちの手によって生み出された傑作の数々は、その最良の成果を示すとともに、作家の個性による違いだけでなく時代による様式の変遷をも我々に教えてくれます。さらにモデルとなった女性たちが身にまとう衣装や装飾品、髪型などは文化史的な興味もかき立てることでしょう。エルミタージュの女性たちが繰り広げる華やかな美の饗宴を、どうぞ心ゆくまでお楽しみください。