古くからアジアと地中海沿岸地域を結んでいた東西交易の道、シルクロード。総延長1万数千kmに及ぶ長大なこの道は、古来、様々な民族と多様な物資が盛んに行き交う、いわば文明の交差路であり、あまたの国々の興亡の舞台ともなってきました。シルクロード沿いの各地では、国際色豊かで多彩な文化遺産が数多く発見されていながら、いまだ謎のベールに包まれたところも多いことから、シルクロードという言葉には、いまなお神秘的な響きがあり、悠久の歴史のロマンが秘められています。
近年、シルクロードの要衝にあたる中国新疆ウイグル自治区と、その出発点で同時に到着地でもある古都・西安では、シルクロードの歴史に関わる新たな発見が相次いでいます。タクラマカン砂漠東端に位置する幻の都・楼蘭における古代王国の遺跡や、かつての東西交流の様を如実に示す西安近辺の壁画墓の出現など、目を見張るような新知見の数々です。
この展覧会は、中国におけるシルクロード文化の精髄が凝縮された優品約130点によって、シルクロードの未知の実像に迫ろうとするものです。
新発見の遺物を中心とするいにしえの豊穣な文化遺産を目の当たりにしながら、それらが語りかける歴史の転変に耳を傾け、魅惑に富んだシルクロードの文化に想いをはせる絶好の機会になることでしょう。