春の訪れを一足早く告げ、その馥郁たる香りとともに日本人に愛され続けている梅は、和歌や漢詩など文学の世界だけではなく、美術においても主要なモチーフとして表現され続けてきました。
厳寒の中で堪え忍ぶように楚々として咲く梅の花は、精神性を貴ぶ禅僧や、文人画家が好んで取り上げ、また四季花鳥図中でも冬を代表する花として描かれました。また、松竹梅など吉祥の象徴としても好まれ、特に工芸意匠では数多くの作品が制作されてきました。近代になっても、日本画家、工芸家の多くが、長い伝統に裏打ちされた梅の表現に挑みながら、新しい感覚を盛り込んだ個性豊かな梅花の表現を展開しています。
本展では、室町時代から現代まで、重要文化財5点を含む70点の作品によって、梅の表現の変遷を辿っていきます。
その他、展覧会にちなんで梅と短歌にちなんだイベントを多数開催いたします。皆様の参加をお待ちいたしております。