誰もいない季節はずれの静かな海辺。穏やかな風景の中にたたずむ女性や動物。今では使われなくなった時計や楽器、人形たち。美しい色彩に包まれたこれらの作品は、みる人を優しく幻想的な世界へと誘います。
1937(昭和12)年北海道に生まれた福井爽人は画家を志し上京、東京芸術大学で日本画を学びます。同大学大学院在学中に院展へ初入選し、以後入選を重ね院展を舞台に活躍する一方、東京芸術大学で後進の指導を続けました。現在日本美術院同人・理事として作品の発表や画壇の発展のために幅広く活動するなか、2005年3月に長年教授として勤めてきた東京芸術大学を退任、今後新たな画壇が開かれることと期待されます。本展は、画家自らが厳選した約90点の作品を一堂に展覧する回顧展です。会場では院展出品作を中心に新作から初期へと作品を遡りながら45年におよぶ画業をたどり、叙情豊かな世界に満ちた福井芸術の魅力に迫ります。