「墨流し」と「マーブル紙」は、それぞれ制作法や使用法に違いはありますが、共に水面に絵の具を垂らして出来た模様を紙に写し取る装飾紙のことをいいます。 墨流しは、松ヤニなどの撥膜剤をつけた棒などで突いて水面の墨を拡散させる操作を繰り返し、上から紙をかぶせて模様を写し取ります。主に和歌や俳句を書くための料紙として用いられ、色紙や短冊などに使われます。 一方、マーブル紙は500年以上の伝統を持つ工芸で、ヨーロッパを中心に作られるマーブル(大理石)模様の装飾紙です。粘り気のある液体に絵の具を浮かせて、細い棒やクシなどで模様を描いて紙に吸着させたもので、多彩な模様があります。本の小口や見返しなどの装幀や箱張りに用いられました。 今回は、それぞれの歴史や技法、様々な模様などを紹介します。また、期間中には初心者向きに簡単に出来る「墨流しとマーブル紙教室」を開催しますので、実際に参加してオリジナルの模様づくりを楽しんでください。