神奈川県立近代美術館館長として一時代を築いた土方定一(1904-1980)の人となりを、彼の厳しい目で選び抜かれた所蔵作品約80点と書簡や書籍などを通して、浮き彫りにする。近代美術館を日本に根付かせようとした土方定一は、美術作品を数多く紹介するだけではなく、自然の中で彫刻を味わうことのできる野外彫刻を普及させ、また、子供たちに主体性を持たせた児童画を描かせるなどして、美術とわれわれの生活の関係をより深いものにしようと努力した。こうした彼の美術館活動を通して、近代美術館の今まで歩んできた軌跡を辿り、今後の美術館が進むべき道を考える。