ピエール・ボナール(1867-1947)はフランス近代絵画を代表する画家の一人です。19世紀末に、彼は仲間たちと前衛的なグループ「ナビ派」を結成し、新しい美術を求めていました。しかし、20世紀に入ると、激しく変化していく美術の流れからは距離を置き、独自の表現を求めるようになったのです。ボナールが取り上げたのは、妻マルトをはじめとする身近な人々、自宅の室内や庭、そのまわりの風景などです。これらの題材を、鮮やかな色彩と練り上げられた構図で描き出していったが故に、彼はアンチミスト(親密派)の画家と呼ばれました。今回の展覧会では国内外の美術館、コレクターが所蔵する油彩、水彩、版画、素描など約70点の作品によってピエール・ボナールの世界を紹介します。