2003年から7年にわたり全国各地を巡回した「故郷からのおくりもの」。同展は全国95会場で約180万人を動員。そして、巡回展終了後の2010年4月には、長野県飯山市に高橋まゆみ人形館がオープンしました。
新見美術館では2009年に同展を開催しましたが、来館者に感動を与えて、大きな反響を呼びました。その後も多くの方々からアンコール開催を望む声が寄せられ、このたび人形の喜峯様の特別協賛により、14年ぶりに「高橋まゆみ創作人形の世界」を開催することとなりました。
高橋まゆみさんは、はじめ、妖精や小人など架空の人形を作っていましたが、長野県飯山市の農家に嫁いでからは、田畑に精を出すお年寄りとの出会いに制作意欲を掻き立てられ、この土地で暮らすお年寄りや子どもたちをテーマに人形の創作をはじめました。おしゃれをしてお出かけするおばあちゃん。千鳥足で歩く酔っぱらいのおじいちゃん。高橋さんの作品に登場するおじいちゃんやおばあちゃんはいつも元気で、表情豊かに私たちに語りかけてくれます。
本展では、日本の原風景の中でくり広げられる小さな物語を、創作人形約80点により紹介します。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、社会の分断が加速している昨今ですが、ユーモラスで親しみある人形たちが、私たちの忘れかけていた「逞しくも、優しい日本人の心」を思い出させてくれることでしょう。