石に生命の原風景や祈りのようなものをダイレクトに感じさせる石彫で知られる絹谷幸太(1973~)と、研ぎ澄まされた眼差しと確かな筆致による花鳥画が人気の絹谷香菜子(1985~)による兄妹展です。
絹谷幸太は高校3年生の時に彫刻の魅力に目ざめて以来、素材である石が発する無言の声に耳を傾け対話を重ねて自身の心情を託した作品を制作しています。自身が「創知彫刻」と名付ける作品群は、鑑賞者の視覚のみならず五感すべてを揺り起こします。
絹谷香菜子は大学2年の頃に幼い頃から親しんでいた動物をモチーフにするようになります。「地球は私の一部であり、私は彼らの一部である」と言うように、描かれた動物たちは単に動物という枠をこえて、人、ひいては生命という普遍的なテーマへと昇華されていきます。
彫刻と日本画という違う道を歩んだ兄妹は石という共通の素材を通して地球と繋がり大地や水、木、そして生物に想いを馳せるようになりました。
本展では最新作を含む代表作を集め、世の中が混迷の度合いを深める現在、改めて地球の生き方を見つめ直したいと願う絹谷幸太と絹谷香菜子が織りなす万物の鼓動をご紹介します。