画家のパレットには創作の秘密が隠されています。形態の技は修練によってその高度さを上げてゆくことが可能ですが、色彩の妙は画家一人ひとりの持つ感性によって決定づけられます。もちろん作品からもその色彩感覚を伺うことはできますが、パレットはさらに奥のまさに画家の個性の根源を覗き見させてくれます。絵の具の量や置き方、色の配列など、そこには画家の性格までが如実に現されているのです。これらのパレットと作品を並べて鑑賞すると、いままで気付かなかった別の魅力を発見したり、作品だけを眺めたときとは違った新たな感動を覚えるに違いありません。
本展では、梅原龍三郎や安井曾太郎、林武をはじめとする日本近代洋画の巨匠に現在活躍されている作家を含め、パレットと作品や自画像、53作家の115点を展示する予定です。世界でも珍しいこのパレットコレクションと作品をあわせてご覧いただくことにより、画家の創作の真髄に触れていただけることでしょう。