来年、画業50周年を迎えるにあたり、長らく品切れだった絵本『おばあちゃん だいすき』が重版されました。1975年に葉祥明の絵本2冊目として発表され、絵本作家・葉祥明の名がますます知られるきっかけとなった本書は、少年がおばあちゃんに花を届けに行く、ほのぼのとしたお話です。葉祥明の代表的な作風である、水平線や地形線に家や木、自転車などのモチーフをぽつりと描くスタイルが確立する前の作品です。その色味は少しグレイッシュで落ちついた雰囲気があります。どこか牧歌的で憂いのある作品は、私たちがよく知る葉祥明の画風とは一見違うように見えますが、そこはかとなく漂う優しく穏やかな印象は、その後の葉祥明らしさを彷彿とさせます。原画の魅力をお楽しみください。