日本近代美術を振り返ると、青木繁や関根正二、中村彝、村山槐多、佐伯祐三、岸田劉生、松本竣介など、優れた作品を制作しながらも若くして亡くなった「夭折の画家たち」は少なくありません。彼らはその短い生涯に、権威や形式に囚われない新たな表現を発表し、残した言葉とともに日本近代美術史にその名を刻みました。自身の内面と向き合い、ほとばしる若さから生まれた作品は、時代を超えて現代に生きる私たちを魅了し続けています。
彼ら夭折の画家たちが活躍した明治から大正にかけては個性の尊重や自己の肯定、生命への讃美がされた時代でした。この度は藤島武二など同時代を牽引した画家たちをあわせて紹介し、当時の時代背景を探ります。
なお、今年で生誕135年を迎える水戸市出身の画家 中村彝らが集った相馬愛蔵・黒光夫妻による「中村屋サロン」や、彝がアトリエを構えた「池袋モンパルナス」に関する内容もあわせて紹介いたします。