田辺市立美術館では、近代に紀南出身者で画家として活動した人物の軌跡を確認し、当時の当地の美術の動向と日本の近代美術史との関係を位置づけて紹介する展覧会シリーズ、『近代紀南の画家』を2018(平成30)年から開催しています。
今回の「近代紀南の画家Ⅲ」では、漢詩、俳句、和歌に秀で、絵画もよくした新宮市出身の文人・福田静處(1865~1944/本名は伊佐次郎、別号に古道人、把栗など)の書画を展観します。若い頃から研鑽を重ねて身につけた深い教養と、高い精神性を以て描かれた静處の書画は、古典に学びながらも独創性の溢れるものとなっています。漢詩や俳句も併せて紹介し、これまであまり知られることのなかった静處の創作活動を伝える機会にしたいと思います。